富山県の将棋界情報をお届します。富山棋界以外でも近県の情報や将棋に関する色んな情報も書いていきます。
by niseara
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天下一将棋会2のランクイン(9月18日現在)

天下一将棋会2で9月18現在県内で「累計宝玉数」「累計天宝玉数」「連勝数」「天位撃破数」A級~C級2組累計スコアのいずれかでランクインしているのは以下の16人です。

こうじ イサコャ しるば おさふね ひだりうま はくたか! とゃまズラ
ぺるセウス ネムイ2 こんこん チヤングム いなむしの たきわき
いなむしの みぃちゃん アョナエ


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# by elijahmadnar | 2018-09-18 00:03 | ゲーム・将棋ソフト・玩具情報 | Trackback | Comments(0)

新川地区の代表

9月16日(日)に魚津市もくもくホールで第55回しんぶん赤旗 囲碁・将棋大会の新川地区予選が開催されました。A・B級の代表は以下の6名に決まりました。

A級
1位 中平寧 2位 鹿熊佑 3位 大田健祐

B級
1位 山田勲 2位 谷口博邦 3位 村上太陽

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# by elijahmadnar | 2018-09-17 01:30 | 大会結果 | Trackback | Comments(0)

赤旗名人戦富山地区・呉西地区予選

9月23日(日)の午前10時よりサンシップ701号室で第55回しんぶん赤旗 囲碁・将棋大会の富山地区予選が開催されます。また同日の同時刻に高岡市戸出コミュニティセンターで同大会の呉西地区予選が開催されます。両大会ともに参加費は一般2000円、高校生以下1000円(昼食付)。A・B級ともに3位まで10月14日(日)に富山県民共生センター・サンフォルテ308号室で開催される県大会へ進出となります。県大会ではA級の優勝者のみが全国大会へ進出となります。
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# by elijahmadnar | 2018-09-16 23:48 | 将棋大会 | Trackback | Comments(0)

郷田ー阿部(健)戦

9月16日放送のNHK杯将棋トーナメントは郷田真隆九段ー阿部健治郎七段戦で解説は三浦弘行九段です。
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# by elijahmadnar | 2018-09-15 00:01 | TV・ビデオなどの情報 | Trackback | Comments(0)

第2回富山県詰将棋解答選手権

9月25日(火)の午後6時半より日本将棋連盟富山支部会館で第2回富山県詰将棋解答選手権が開催されます。
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# by elijahmadnar | 2018-09-14 03:30 | 詰将棋 | Trackback | Comments(0)

「リボーンの棋士」第1巻

ビッグコミック「リボーンの棋士」第1巻が9月28日に発売されます。
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# by elijahmadnar | 2018-09-13 23:38 | 将棋漫画・小説など | Trackback | Comments(0)

王位戦、最終局へ

9月10・11(月・火)に神奈川県秦野市「元湯 陣屋」で行われた第59期王位戦7番勝負第6局は豊島将之棋聖が勝って3勝3敗となりました。第7局は9月26・27日(水・木)に東京都千代田区「都市センターホテル」で行われます。
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# by elijahmadnar | 2018-09-12 12:16 | プロ棋界・奨励会・研修会 | Trackback | Comments(0)

天下一将棋会2のランクイン(9月11日現在)

天下一将棋会2で9月11現在県内で「累計宝玉数」「累計天宝玉数」「連勝数」「天位撃破数」A級~C級2組累計スコアのいずれかでランクインしているのは以下の15人です。

こうじ イサコャ しるば おさふね ひだりうま はくたか! とゃまズラ
ネムイ2 ぺるセウス チヤングム どるあーが QQQ いなむしの
みぃちゃん アョナエ

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# by elijahmadnar | 2018-09-11 01:29 | ゲーム・将棋ソフト・玩具情報 | Trackback | Comments(0)

鈴木肇さんが優勝

9月8~10日(土~月)に第72回全日本アマチュア将棋名人戦全国大会が開催され、神奈川県代表の鈴木肇さんが優勝しました。富山県代表の桶屋郁夫さんは予選を2勝1敗で通過し、本戦トーナメントベスト32で敗退しました。
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# by elijahmadnar | 2018-09-10 15:40 | 大会結果 | Trackback | Comments(0)

高岡支部9月例会

高岡支部の9月例会が9月23(日)の午後1時より(~5時)高岡市立木津公民館図書室(高岡市木津613-1)で行われます。スイス式4回戦、持時間15分、30秒。参加費は高岡支部会員500、会員以外は800円。
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# by elijahmadnar | 2018-09-09 14:01 | 支部関係の情報 | Trackback | Comments(0)

佐藤(天)-佐々木(慎)戦

9月9日放送のNHK杯将棋トーナメントは佐藤天彦名人ー佐々木慎六段戦で解説は広瀬章人八段です。
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# by elijahmadnar | 2018-09-08 00:01 | TV・ビデオなどの情報 | Trackback | Comments(0)

赤旗名人戦新川地区予選

9月16日(日)の午前10時より魚津市もくもくホールで第55回しんぶん赤旗 囲碁・将棋大会の新川地区予選が開催されます。参加費は一般2000円、高校生以下1000円(昼食付)。A・B級ともに3位まで10月14日(日)に富山県民共生センター・サンフォルテ308号室で開催される県大会へ進出となります。県大会ではA級の優勝者のみが全国大会へ進出となります。

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# by elijahmadnar | 2018-09-07 01:24 | 将棋大会 | Trackback | Comments(0)

挑戦者が先勝

9月4日(火)に神奈川県秦野市「陣屋」で行われた第66期王座戦5番勝負第1局は斎藤慎太郎七段が先勝しました。第2局は9月20日(木)に京都府京都市「ウェスティン都ホテル京都」で行われます。
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# by elijahmadnar | 2018-09-06 01:58 | プロ棋界・奨励会・研修会 | Trackback | Comments(0)

伝説の「富山県棋界最強棋士」 (3)

「伝説の『富山県棋界最強棋士』」の第3回です。


 そんな日々も、突然終焉を迎える。「斬り合い」が始まってから数ヶ月後、「甚四郎さん入院」の一報を村上支部長宅で聞いた。杉本さんなどはからかい半分、「桶屋のせいやわ。」などといじってくる。しかし、福澤前支部長の「とにかく、何があっても、絶対にあの人とだけは将棋を指したらだめやぞ!」という言葉の意味を心底理解し、他者に語らぬ心身の不調を実感していた私は、気の利いたジョークで返す余裕もなく、乾いた薄ら笑いを浮かべ、受け流すことしかできなかった・・・。しばらく後、ダメージが幾分かとれたところで、村上支部長に教えてもらった甚四郎さんの入院先の病院へと見舞いに向かった。看護師さんに案内された病室のベッドの上で、甚四郎さんはぐっすりと眠っていた。「寝ておられるから、今日はこれで失礼します。」私がそう言うと、看護師さんが「もうすぐ食事の時間なので起こしますよ。」と言って甚四郎さんを起こした。「ああ、先生。よく、こいとこまで来られたね。」「甚四郎さん、大丈夫ですか。早く元気になってください。」その日はそんな挨拶程度で失礼することにした。(元気になったらまた指しましょうとは、口が裂けても言えなかった・・・)それからというもの、二人の休日は、某老人福祉施設での「斬り合い」ではなく、病院での「対話」に舞台を移した。思えば、某老人福祉施設では、感想戦ですら一言二言で終わり、会話らしい会話というものはほとんどしたことがなかった。相変わらず、私のことを「先生」と呼ぶ甚四郎さんが、未だに私の職業も知らないくらいなのだから・・・。しかし、舞台を病院に移したことで、寡黙だったはずの甚四郎さんは大変饒舌に昔のことを話してくれ、私もそれを興味津々で聞きながら大いに会話を楽しんだ。「あの時、花村君はねえ。」などと、プロ名人戦の挑戦者にまで昇りつめた花村元司九段の「東海の鬼」時代には香落ちなどで指していたこと(上手「東海の鬼」)、名古屋在住時代の生活(真剣師のたまり場)のこと、何十年も将棋を指していない間はずっと囲碁を打っていた(俗語の「真剣」で)話などなど、まるで私もその場で見ているかのように、色鮮やかに話してくれた。また、某老人福祉施設訪問の際には、手土産一つもっていかなかった私であるが、病院を訪れるようになってからは、「時間のある時に、これ読んでください。」などと言って、過去の将棋世界及びその付録等を置いてくるのが毎回の習慣となった。互いに、もう二度と対局する機会がないことを薄々感じながら・・・二人は「相手を斬り合う」関係から、「相手を知り、いたわり合う」関係へと大きくシフトチェンジしていったのである・・・。

その後、職場の多忙な時期の波にのまれ、1か月ほど見舞いに行けなかったある日のこと、村上支部長から甚四郎さんの訃報についての連絡を受けた・・・。葬儀には出席できなかったが、後日、香典袋を携え、村上支部長から教えてもらった、甚四郎さんの息子さん宅に伺った。今となってはうっすらとしか覚えていないが、「空前絶後の『富山県棋界最強棋士』と、遅ればせながらも同じ時代に巡り会い、対局させていただいたことに感謝しています。尚、今後『心の真剣』は二度と使うことなく、今日、この場に置いていきます。また、甚四郎さんが魅せてくれた『魂の一手』は生涯忘れません。これまで本当にありがとうございました。」等々、ご仏前で伝えた気がする。某老人福祉施設で繰り広げられた激闘の日々を終え、伝説の「富山県棋界最強棋士」の最晩年を見届けた私は、その後、虚無感にさいなまれるとともに、将棋に対する情熱を次第に失っていった・・・。

<あとがき>2017年1月、寄稿文で、「私の将棋練習法」について書かせていただきました。性格上、文章の校正については、きりなく取り組んでしまい、これが最後と言いつつブログ担当者の荒木秀夫さんに最終稿を送ってはみるものの、結局何回も「待った」をお願いしてしまいました。(後日、読み直しても、その度に新たな修正箇所が出てくるので、やはりきりがありません・・・)そんな荒木さんとのメール交換の中、私が「次回は『伝説の富山県棋界最強棋士、広野甚四郎さんについて書いてみたい構想が湧いてきました。」と冗談半分で何気なく書いたところ、荒木さんから「ありがとうございます。広野甚四郎さんの話などはかなり貴重なものだと思いますので楽しみにしたいと思います。」と、すぐに丁寧なお返事をいただいたことが、今回の執筆のきっかけとなりました。「甚四郎さんの思い出か・・・。どんな感じになるか、やらんなん仕事もあるけど、ちょっと書いてみようかな?」埃まみれの記憶を元に少し書き始めると、当時の熱い日々がよみがえってきて、止まらない止まらない・・・。結局日程で一気に書き上げてしまいました。しかし、読み返すと、「こっちの表現の方がいいかなあ。」などと、またしても校正作業のエンドレス状態が始まる始末。結局、本文は2017年1月上旬に完成し、荒木さんに一旦原稿を送ってはいたものの、修正にしばらく時間をくださいと言ってから忙しさにかまけ、放置したまま時が過ぎておりました。荒木さんおっしゃるところの「かなり貴重な甚四郎さんの話」をきちんと説明するのは、明らかに私のキャパを越えた作業ではありますが、しかしこのままだとせっかくの力作(笑)がお蔵入りになるのも忍びないので、この度寄稿に踏み切った次第です。

尚、今回執筆しながら、若かったあの頃とは違い、当時の甚四郎さんの気持ちが、おかげで少しは見えてきた気もします。あの時、甚四郎さんは、こちらが勝手に感じていた内的世界とは違う気持ちで私と将棋を指していたのではないか。私を命懸けで「斬り」にきたのではなく、私に命懸けで「教えて」くれていたということを・・・。

また、文中に「いやな予感的中率99.99%」と、お世話になった分、何度も登場してくる村上義和支部長の第六感の鋭さを書いた箇所がありました。敢えて100%にしなかったのは、甚四郎さんと将棋を指したことが、私にとって本当によかったと思っているのがその理由です。今回の執筆を機に、忘れられない「魂の一手」を手本とし、失った将棋に対する情熱を取り戻すべく、これから精進していきたいと思います。

       2018年8月31日  桶屋 郁夫


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# by elijahmadnar | 2018-09-06 00:09 | その他 | Trackback | Comments(1)

伝説の「富山県棋界最強棋士」 (2)

「伝説の『富山県棋界最強棋士』」の第2回です。


施設に入るとまず、数十人の入居者に、これ以上は無いというくらいの熱い視線を一斉に浴びせられた。今で言うところの「ガン見」である。「誰かの孫が来たんかと思っとらかな?しかし、ここまで見るか・・・?」そう思いながら、施設の方に案内された30人程の入居者がいる大広間に着くと、既に甚四郎さんが将棋盤を出して待っておられた。「初めまして、村上さんに連絡していただいた桶屋です。」「ああ、来られたけ。じゃ、さっそく始めるけ。」そう言った甚四郎さんは駒を並べる前に、横にいたお弟子さんらしき人(以下お弟子さんに統一)に小銭を渡し、買い出しに行かせた。駒を並べ始めると、先日の大会では気付いてなかったが、「屋久島の縄文杉」よろしく、指の皮がぼろぼろになっていることに驚かされた。「これだけすごい手の人と指すのも初めてやな。しかし痛そうやな・・・。」駒を並べ終えたところで、ちょうどお弟子さんが戻ってきて、甚四郎さんにタバコとお釣りを、そして私にはコーヒー牛乳を渡してくれた。「えっ、これは?」戸惑う私に甚四郎さんは、「遠慮せんと、飲まれ。」と言われた。「あっ、ありがとうございます。(割といい人じゃないか・・・)」先日の第一印象でかなり和らいでいたとは言え、数々のブラック話からまだ相当警戒していた緊張感もここでかなり解け、頂いたコーヒー牛乳を一口飲んだところで、甚四郎さんと私の「記念すべき第1局」が始まった・・・。勝負の結果は私の勝ち。「記念すべき第1局」だったのに残念ながら棋譜は不明で、今となってはその時の勝敗と、ぼろぼろになった甚四郎さんの指、加えて、頂いたコーヒー牛乳のこと位しか、よく覚えてはいない。その後、入居者の夕食時刻まで数番指し、別れ際に一言、甚四郎さんが言った。「先生、奥が強いねえ・・・。」1日を通して、その日初めて甚四郎さんに二人称で呼ばれたのだが、初対面で私の職業(当時教員)のことは全く知らないはず。どうやら、こちらの力を認めて、「先生」と言ってくれたようである。また、古典詰将棋を通して知識としては知っていた「終盤」の同義語である「奥」という言葉をごく自然に使う人物を初めて見たので、マニアック的にも、大変うれしく思った。このようにして、本来、「先生」と「桶屋君」であるはずの年齢差約60歳の二人の、「甚四郎さん」・「先生」と呼び合いながら、その関係を深めていく日々がスタートしたのである。

一体何番指したことであろう。20代半ばで、まだまだ遊びたい盛り。したいことや興味も多方面にある中、それからというもの、私は土日どちらかの休日には必ず、例の老人福祉施設へと足を運んでいた。2回目の訪問からは、より静かな環境で将棋を指すための配慮なのか、甚四郎さんの部屋に通されるようになった。以下の定跡手順としては、まず始めにお弟子さん(数名いて交代制)が遣いに出され、甚四郎さんにタバコとお釣りを、そして私に飲み物(コーヒー牛乳オンリーでなく、缶コーヒー、ヤクルト等、いろいろな変化があった)を渡して退出。その後、対局開始。途中、定時にお弟子さんが飲み物をもって来てしばらく観戦しているが、それ以外はずっと閉ざされた二人だけの空間の中、昼過ぎから終了予定の夕食時刻までただただ将棋を指し続けた。(チェスクロック不使用)対局はいつも好勝負であった。100メートル走に例えると、まず30メートル辺りまでは並走。だが、中盤で異様な力を発揮してくる甚四郎さんが、そこからリードを奪う展開に。しかし何と言ってもこちらには、「詰むや詰まざるや」で鍛えて頂いた伊藤宗看・看寿の両先生が味方についている。後方からまくりをかけ、90~95メートル地点で並んだ後、そのまま一気に抜き去りゴールというパターンが多かった。感想戦はいつも、甚四郎さんの締めの一言で手短に終わった。「先生、奥が強いねえ・・・。」そりゃそうだ。当時の私は伊藤門下を自負しており、今と違って「それなりに時間さえあれば、俺に解けぬ詰め将棋など、この世には存在しない。」と言い放つなど自信満々。なおかつ実際にそれを実行していた時期の真っ盛りなのである。ところが、そんな自分を相手に、齢85を過ぎながらも、いつもぎりぎりの勝負をしてくる甚四郎さんの「化けもん」ぶりに、指せば指すほど将棋の深さ、そして相手の強さを感じさせられた。

そんなある日のことである。その日の対局では、例によって100メートル走に例えると、これまでの展開とは違い、50~60メートル地点では既にこちらがリードを奪い、そのまま差をつけながらゴールするという将棋が多かった。「やっと甚四郎さんの中盤に対する指し方のコツが分かってきたわ。終盤になったこの将棋もいただき!」勢いを増してきた数局目の終盤戦のこと。私は得意気に指をしならせながら、自信満々敵陣2一の地点に飛車を成った。それに対して甚四郎さんが、待ってましたとばかりに珍しくノータイムで次の一手を放ってきた。

「パッシーン・・・」未だかつて見たこともなく優雅で、なおかつ非常に妖しい手つきで4二の地点にいた玉を5三の地点に上がってきたのである。

「なんじゃそりゃ?そんな手あるわけないやろ。」一瞬も考えていなかった意外な一手を指され、半ばあきれながらも私はトドメの一手を読み始めた。5分後→「フーン。玉の早逃げなんとやらで意外と寄らんもんやな。でも、なんかあるやろ。なめとらんと、腰落としてちゃんと読むか・・・。」15分後→「おかしい。寄りが全く見えん。どうすんだよ?」30分後→「寄りないどころかよく見たら、いつの間にか、鉄壁のはずのこっちの方がやばくなっとんにかよ。これじゃあ一手どころか本当に『玉の早逃げ八手の得』やにかよ。一体、どういうことよ???」解析不能でフリーズし、次の一手が全く見えないまま、この数手前に甚四郎さんが不可解な長考をしていた意味をようやく知るに至る。「あの局面からこの手を読んでいたのか・・・」気付いた瞬間、なぜか背筋がぞっとした。相手の力量を見切ったつもりが、実はこっちが見切られていたのである。これまで散々打たせるだけ打たせた挙げ句の果て、いつの間にか、こちらの終盤力は甚四郎さんにほぼ吸収されつくしていたことを悟る・・・。先ほど着手された瞬間の映像が頭の中で何回も反芻される。

「パッシーン・・・」未だかつて見たこともなく優雅で、なおかつ非常に妖しい手つきで放たれた「魂の一手」を見つめながら、私は本能的に感じる身の危険におののいていた。「こ、この人と将棋を指していたら・・・」

フリーズしたまま、いつしか私は手を読むのを止め、この恐怖感がいったいどこから湧き上がってくるのかを必死に探っていた。ここからしばらくは、私の内的世界を例え話で述べることにする・・・。

確かに先ほどまでは互いに竹刀で打ち合う勝負をしていたはずなのだが、ふと目を見やると、いつの間にか甚四郎さんが手にしているのは、妖しく光る真剣。そんな甚四郎さんが、話に聞いていた琥珀色の目で睨みながら、いつもの一歩あたり10~15センチの歩幅で、こちらに少しずつ近づいてくる。身の危険を感じる理由はこれで分かった。こっちが竹刀で、あっちは真剣。やばい、とにかくやばい。いったいどうすりゃいいんだ・・・。後ずさりしてはみたものの、これ以上後ろは断崖絶壁。もはやこれまでかと観念した瞬間、気が付くと私は「伊藤」と銘の入った一本の真剣を手にしていた・・・。

それからというもの、「修羅場」と化した二人の対局は、近づきがたく重苦しい雰囲気が醸し出されるようになり、定時にやってくるお弟子さん達ですら、差し入れを渡す手が震え、これまでのようにしばらく観戦することもなく逃げるよう足早に去っていくようになった。二人の対局は、甚四郎さんと私にとって、いや、少なくとも私の内的世界においては、真剣を手にしての壮絶な斬り合いの場に変容してしまったのである・・・。まず対局が始まると、相手に対して一分の隙も与えないよう、互いに間合いをはかりながらゆっくりと、そして少しずつ近づいていく。安易な攻撃は絶対に仕掛けない。しかしある刹那を境に、一気に斬り合いが始まる。伊藤門下を自負しながらも、自分がこれまで何のために、誰と戦うために終盤力を磨き上げてきたのか、その意味がようやく分かった。斬って斬られ、斬って斬られ、斬って斬られて、斬られて斬って・・・とにかく、どちらかがぶっ倒れるまで、二人はただひたすらに斬り合いを重ねた。しかし、「肉を切らせて骨を断つ」の言葉通り、互いに真剣で斬り合って無傷で済む訳がない。激闘を重ねる日々の中で、「大切な何か」がズタズタに切り刻まれていくことを二人ははっきりと感じていた。壮絶な休日のシュールな斬り合い、穏やかな平日のリアルな暮らし、その往復の中、二人は坂道を転げ落ちるように互いの心身を疲弊させていった・・・。


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# by elijahmadnar | 2018-09-05 00:06 | その他 | Trackback | Comments(0)